・「キャリアオイル」精油は水には溶けないが油脂には溶ける。表皮は私達の体の表面にあって外からの物質を中へは通さないと長らく考えられてきたが、今では皮膚は半透膜バリアーであるとされ、天然の植物油は角質層を通過すると言われている。 これらのことから、植物油に溶かした精油を皮膚から体内に浸透させることが可能であると考えられるようになった。精油を体内に運ぶことから、精油を希釈する植物油をキャリア・オイルと呼ぶ。(ベース・オイルと呼ぶ場合もある) しかし透過に影響を及ぼす要因はいくつかある。 一つには油の粘性があげられる。粘りのあるオイルは浸透しにくい。しかし粘性は温度の上昇によって低下することから、塗布する際に体や掌が温まっている状態であれば、より浸透しやすくなると言える。(中には例外もあって、アボカド油は粘性は高いが浸透性も高い) 又、不飽和脂肪酸の割合が高い油の方がより浸透するようだ。しかし、この場合も例外があって、主に飽和脂肪酸からなる液体ワックスのホホバ油が毛穴から角質層に進入していく様子を示した写真も撮影されている。 今の段階で言えることは、皮膚への浸透力は、いくつかの例外を除いて植物油の分子の重さとサイズによって違ってくるということ。より大きな分子は皮膚のバリアーを通過する見込みが少ないということ。精油の吸収率がキャリアとして使われた植物油の性質によって左右されるということである。 セラピストはこれらのことを踏まえて植物油を使い分ける必要がある。体内に精油を浸透させたい場合にどのオイルを使うのか、又、皮膚表面で精油の効果を発揮させるために基材として何を使うのか。 基材の項ではミツロウ、シアバター、ワセリンについても取り上げたいと思う。 参考図書:レン・プライス著『キャリアオイル事典』(東京堂出版) ジャンル別一覧
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